大洲市は四国・愛媛県にある小さな城下町です。大洲市は人口減少に伴い空き家が増え、町並みや建物などを維持することが困難になっていました。地域文化を残すため、町のアイデンティティを守るため、古き良き町並みや歴史的建造物の再生と活用を軸に取り組んだ、大洲市の観光まちづくりを紹介します。
2025.01.07再生した町、愛媛県大洲市
大洲市は愛媛県の南部に位置する、人口4万人弱の小さな田舎町です。この大洲市では数年前まで過疎化や少子高齢化、さらには空き家が増えることで、町並みが一気に消失する危機に瀕していました。特に空き家問題は深刻で、所有者は大洲にいないケース多く、更地にして駐車場にしたりするケースが多く、町の景観というアイデンティティが失われる寸前でした。
そこで大洲市では「歴史的資源を活用した観光まちづくり」という用いて、解決しようと試みました。行政と銀行、民間事業者が連携し、大洲の城下町に残る古い町家や民家などの歴史的資源を活用して観光まちづくりを進めることにより、歴史ある町の景観を保存しようとしました。
地域の若者たちのまちづくり活動
大洲の城下町は、持ち主がいなくなった空き家が軒を連ね、崩壊しているものも少なくありませんでした。2017年、官民連携の事業と並行して、空き家の方かいに危機感をもった地域の若者が空き家の清掃や空気の入れ替え、障子の張替えなどの簡単な修繕活動を行い、少しでも空き家の損傷の進行を遅らせることができました。
また、城下町の古民家の活用の一環として、「城下のMACHIBITO」というイベントも実施されました。「100年前の大洲の賑わいを再現する」というコンセプトで、ドレスコードも100年前に設定し、大洲の城下町は1900年ごろの活気を取り戻しました。また、このイベントを通して地域の住民やお客さんに大洲の魅力を伝えることができ、さらには大洲に出店したいという事業者も現れるほど、大洲にとっては大きなターニングポイントとなりました。
蘇った空き家がショップやホテルに
今では多くのショップが開業し、少しずつ大洲の町に賑わいをもたらしています。地域の物産品を取り扱うお店や古民家の雰囲気を活かしたカフェ、地元のクラフトなど、様々なショップがオープンしました。
さらには日本最大の分散型ホテル「NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町」が開業しました。改修した空き家をホテルの客室として利用し、更にはフロントやレストラン、ラウンジを別の棟にあることで、大洲の町を歩いてもらうような仕組みになっています。客室は元々の空き家の特性を活かし、その建物ならではの物語を感じることができます。
詳しいNIPPONIA HOTEL 大洲 城下町については、こちらの記事をご参照ください。
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【日本の伝統を感じるホテル】NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町を紹介！
2024.11.15
文化財の活用の推進
大洲では文化財を未来へ残すため、文化財活用も積極的に行っています。その最たる例は木造で復元された本物のお城に宿泊できる「大洲城キャッスルステイ」です。お城に泊まれるという日本初の取り組みは、当時のお殿様の入城する際に甲冑を着た家臣（部下）がお出迎えする入城シーンの再現や、大洲の伝統芸能の披露など、宿泊者が大洲の文化を感じられる体験になっています。また、この取り組みは文化財の価値の向上だけでなく、町の宣伝効果やや地域の価値の向上につながっています。
大洲城キャッスルステイにご興味のある方はこちらをご覧ください。
持続可能な観光地
現在では大洲のこのような取り組みが世界的に評価されています。2023年には古民家再生や文化・伝統保存の取り組みが評価され、持続可能な観光地の取り組みを表彰するGREEN DESTINATIONS STORY AWARDS in ITB Berlin「Culture&Tradition部門」にて世界1位を獲得。また、2024年にはGREEN DESTINATIONS「世界の持続可能な観光地アワード」でシルバーアワード受賞を受賞しました。
大洲のストーリーを辿る、OZU STORIES
大洲ではこのような大洲のストーリーを案内人とともに体験できる「OZU STORIES」という旅を提供しています。大洲の歴史やまちづくりの取り組み、古民家再生の物語などを、大洲を熟知した案内人とともに巡ります。町の案内だけではなく、地域の方との交流を通して大洲への理解を深め、より大洲の町を楽しむことができるツアーになっています。
また、「OZU STORIES」は収益の5%を町の保全を行う団体に寄付しており、この度に参加すること自体が大洲を未来に残す活動になります。
OZU STORIESについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
■対応言語
日本語、英語
※中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語は要相談